フィリピン在住のデンヒル・タンさんは、生後9ヶ月の息子を病院に連れて行きました。常に体調が悪かった息子の状態は、病院での治療にもかかわらず改善されることはなく、原因不明の病に苦しむ毎日が続いていました。集中治療室(ICU)で息子は何本もの管に繋がれ、強い薬で眠らされていましたが、症状は悪化の一途をたどり、ついには自発呼吸ができなくなり酸素吸入器を装着することになります。
「ずっと忘れないよ、ごめんね」と、タンさんは息子にかける言葉しか見つけられず、息子の苦しみを前にどうすることもできませんでした。医師からはもう回復の見込みがないと告げられ、息子に平和をもたらすため、タンさんは息子の酸素吸入器を外す決断を下します。息子が静かに息を引き取るその瞬間、タンさんは「大好きだよ」と耳元で囁きました。
その後、タンさんはこの悲痛な瞬間の写真と、「ずっと忘れないよ」「これからは空の国で楽になってね」「愛しているよ」というメッセージをFacebookに投稿しました。この投稿は瞬く間に広まり、多くの人々から共感と悲しみの声が寄せられました。親が子を失うというのは計り知れない苦しみですが、自らの手で息子の苦しみから解放するという決断は、それ以上の悲しみを伴います。
この投稿に対するネットの反応は、タンさんの行動に対する深い共感と、空の国での息子の平和を祈る声が多く寄せられました。「親より先に亡くなるのが本当の親不孝だ」という言葉や、「空の国では痛みがないことを祈る」など、言葉では言い表せないほどの悲しみとサポートの気持ちが表されています。