従兄弟が遊びに来た夏休み、家族で東京ディズニーランド(TDL)に行くことになった。しかし、当日になって父が仕事で行けなくなり、運転手がいない状態になった。母は3人の子供を連れて1人で電車に乗るのは大変だと考え、タクシーで行くことを提案した。当時住んでいた千葉県内でも、TDLまでのタクシー代が高額になることは容易に想像できた。それでも母はタクシーに乗り込み、運転手に「いくらくらいで行けそうですか」と尋ねた。運転手はにこにこ笑いながら「3000円もあればいけるんじゃないですかね」と答えた。
タクシーが走り出すと、あっという間に3000円を超えてしまった。しかし、運転手は母や子供たちと楽しく会話をしながら、TDLまでしっかり送り届けてくれた。目的地に到着すると、運転手はメーターのスイッチを切り、母に笑顔で「お疲れさまでした。楽しい時間をありがとうございました」と言った。
母は申し訳ないと思いながらも、5000円札を渡してお釣りはもらわなかった。しかし、実際にはもっと高額なタクシー代がかかっていたはずだった。その優しい運転手さんのおかげで、家族はとても気持ちよくTDLを楽しむことができた。この出来事は私の夏の思い出の1つとなった。